北里臨床研究センターとは

 北里大学医学部は平成19年度厚生労働科学研究費補助金・臨床研究基盤整備推進研究事業に採択され、「新たな治験推進活性化5ヵ年計画」において設置された全国10ヶ所の「治験中核病院」の一つとしての役割を担うことになりました。これに伴い、来春には「北里臨床研究センター(略称KCRC:Kitasato Clinical Research Center)」が設置されます。

北里臨床研究センターの目指すところ

治験の「空洞化」という現実

 開発された薬や医療機器を承認するために有効性や安全性を確認する治験は、患者に対して最新の治療法を提供していくための重要なステップであり、その意味で治験の実施がわが国の医療を向上させるものであるとも言えます。しかしながら、わが国においては、医師の治験に対するモチベーションの低さ、支援人材の不足等から治験の実施が困難になりつつあります。これに代わり欧米や他のアジア諸国で治験が流れていく、いわゆる治験の「空洞化」状態が起こり、これが将来のわが国の医療に対する危惧を生んでいます。

 これまで、本医学部では北里柴三郎先生の実学の精神を受け継ぎ、基礎的研究に重点を置きながら患者を中心とする臨床研究にも同様に力を注いできました。その結果、全国でも有数の治験、臨床研究の実績を有するに至りました。しかし、本学においても、グローバルレベルにはまだまだ及ばないのが現状であり、北里発の最新で最高の医療を、日本のみならず世界に発信するために、臨床研究実践の風土の醸成とシステムの確立を更に進めることが必要であると考えます。

今後へのビジョン

 これら諸問題に対し、本研究を推進するために新たに設置される北里臨床研究センター(KCRC)が中心となり、本院、東病院、北里研究所病院、北里メディカルセンター病院を始めとした関連各病院のネットワークを形成します。その中で、KCRCは治験実施の各種支援、治験効率化のためのシステム開発、研究企画やプロトコール作成、データ解析等の臨床研究実施支援、医師主導治験や臨床研究実施のための人材育成等の役割を果たして行きます。また、KCRCの事業の基盤作りとして、治験、臨床研究に関連するコースを大学院に設ける予定です。

 今回採択された提案の中でもっとも期待されていることの一つとして、海外医療機関とのネットワークによる国際共同治験や臨床研究の実施があります。幸いにして本学では既にその種子が育っており、欧米やアジア各国との連携が進みつつあります。このネットワークを活かし、多くの国際共同治験や臨床研究を実施していく中で、グローバルレベルで活躍する人材を輩出するとともに、エビデンスを創出し続けることにより、日本の臨床試験・研究の基盤向上と国際的競争力の強化、さらには、我が国の医学、医療の発展に寄与していきたいと考えます。